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「幸せだった記憶を、思い出させてやらなかった。その時間を奪ったのは、この俺だ」

と、土方はモニターの向こうに映る雪に、頭を垂れた。

「違います、おじさま。私は生きる希望を頂きました。だから後悔なんてしてません。ましてや恨んでなんかいません」



雪の目に曇りはなかった。晴れやかに澄み渡っている。幸せそうに頬を紅潮させている。
病み上がりのはずの雪は、通信室に古代と二人で居る。
なぜだ?と 問う前に、古代から説明があったが、それは事実であったとしても本質ではないだろうと、土方は気付いていた。

『人類の未来が、おまえの双肩にかかっていると言ってもいい。大袈裟に聞こえるかもしれないが、おまえに課せられた使命は重い。
だが、どうかやり遂げて欲しい』

記憶を失って、何もかも失くしてしまったと思っていた雪の瞳に、生きる希望の光が点った。

「誰かの役に立つのが嬉しかったんです。私は」
雪は、モニター越しの土方を直視してから、そばに立つ古代を見上げていた。二人は目を合わせて微笑みあった。



2016/03/11(金) 22:02 open arms PERMALINK COM(0)
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