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open arms ちょこっとだけ断片的な
「幸せだった記憶を、思い出させてやらなかった。その時間を奪ったのは、この俺だ」
と、土方はモニターの向こうに映る雪に、頭を垂れた。
「違います、おじさま。私は生きる希望を頂きました。だから後悔なんてしてません。ましてや恨んでなんかいません」
雪の目に曇りはなかった。晴れやかに澄み渡っている。幸せそうに頬を紅潮させている。
病み上がりのはずの雪は、通信室に古代と二人で居る。
なぜだ?と 問う前に、古代から説明があったが、それは事実であったとしても本質ではないだろうと、土方は気付いていた。
『人類の未来が、おまえの双肩にかかっていると言ってもいい。大袈裟に聞こえるかもしれないが、おまえに課せられた使命は重い。
だが、どうかやり遂げて欲しい』
記憶を失って、何もかも失くしてしまったと思っていた雪の瞳に、生きる希望の光が点った。
「誰かの役に立つのが嬉しかったんです。私は」
雪は、モニター越しの土方を直視してから、そばに立つ古代を見上げていた。二人は目を合わせて微笑みあった。
2016/03/11(金)
22:02
open arms
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open arms3
私は、失礼しますと、観測室から出て行くつもりだった。
けれど、新見さんは私の背に、言葉を被せてきた。
何が何でも私に認めさせたいわけだ。
「あなたは自分の居場所を探している。そこに土方宙将は付け込んだ。違う?
あなたは、私達の知らない別の命を、土方宙将から受けているんじゃない?」
「この航海の成功を。それだけです。他には何も」
怒りを持続させる振りは失敗に終わりそうだ。彼女の意図がわからない。私の何を探りたいんだろう。
過去? 記憶のない私に何を話させようというのか。
「あなたはいつかぽきりと折れてしまわないかと心配なだけ」
新見さんは、私の前をぐるりと回り、背後について、後ろから囁いた。
「ご心配なく。私は心身ともに健康です」
「そう突っ張らないの。誰でも辛い時期はあるし、それは何も悪いことじゃない。要はそれとどう向き合うかよ。
私なら、あなたの悩みを聴いてあげられるわ。同性だし、私は、人の悩みを聴くのが得意なの。
それとも、私以外に誰か相談できる人がいる? そうなら、別に私は必要ないけど」
彼女の言葉に導かれて古代君の顔が浮かんだ。はっきりと彼の輪郭を反芻しようとしたそばから、それは消えていってしまう。
「古代一尉? 彼と親しくしているようだけど?」
「私が誰と親しくしようと、新見さんには関係ありません。それに、最初から私はあなたに相談しようなんて思ってない」
「そう。彼ならいいのかも」
含み笑いをする新見さんが想像できて、私は彼女を振り返った。思い切り不快感を顔に出してやろうと思ったのだ。
「あの……、お話しすることはもうないので、私はこれで失礼します」
そこには意地悪な笑みを浮かべた彼女はいなかった。
顔をわずかに歪めた新見さんは、けれどすぐに俯き加減だった視線を私に戻した。
「不穏な動きを知っている? あなたが知り得る事実を、全て私に話して欲しい」
なんのことだろうと訊きかえしたいと思ったけれど、これ以上彼女に関わりたくない。
「失礼します」
彼女の言うところの疑惑が、まさか私の出自だったなんて、この時は思いもよらなかった。
私がドアの外に出て行くまで、彼女はじっと私を見ていた。
挨拶をするわけでもなく、彼女は私を見送っていた。
エレベーターで降りながら、詰めていた息を吐いた。はぁっと小さく溜息のように。
幸い誰も乗りあわせることなく、カゴは階下へと降りて行った。
心にできてしまった黒い小さな染みを、私は見ないように振る舞ってきた。いつか消えてなくなってしまえばいいと願っていた。
言いようのない不安。染みが心のほとんどを侵食してしまうのではないかという恐れ。
この時点で、私はうすうす気づいていたのかもしれない。
2016/01/21(木)
21:07
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「あなたの経歴、変わってるわね。噂によると、誰かの強いプッシュがあったから、あなたはヤマトに乗り込んだそうね」
「どんな噂か知りませんけど、気にしてません」
彼女の言葉を断ち切って、私は、もう用のないここを離れようとした。
コーヒーには口をつけていないけれど、このまま捨ててしまおうと、ダッシュボックスに近づいた。
新見さんは、私の腕を取った。
「事故以降の記憶しかないのに、あなたは頑張りすぎている。何があなたを突き動かしているの?」
「それは、単純に興味本位で訊いていらっしゃるのですか?」
しつこいな。本音が出そうになったけれど、眉間に皺を寄せて負の感情を露わにした。
「そうじゃない。あなた、利用されているんじゃないかと思ったの」
新見さんは、口元には笑みを浮かべているのに、眼鏡の奥の目が笑っていない。
冷たい目だ。氷のように冷たい。
ダメ。目を背けては。
「利用されてる? 私が? 誰にされてるって言うの?」
思わず声を荒げてしまうところだった。
辛うじて冷静さを取り戻して、私は咳払いをする。
「土方宙将。あの方はどんな方? あなた、あの人との思い出はある?」
ストレートな訊き方に私は引っ込みがつかなくなった。
もはや、彼女のペースに引き込まれている。
「利用だなんて、そんな。あの方は私の恩人です。今は後見人となってくださっています」
「記憶を失くしたひよっこに、ありもしない記憶を植え付けた。そう考えられなくもない」
「あの方と私を侮辱して、何が面白いの?」
軌道修正なんて私には出来っこない。彼女の意のまま、流される振りをして怒って出て行けばいい。私はそう考えた。
2016/01/08(金)
20:22
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私の足りない何かを、彼女は示そうというのか。自分自身も知り得ない心の奥を。
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コツコツコツ……。
ドアの前で止まった足音は、想像していた彼の音とは違った。
観測室に居た私が振り返るのと同時に、その人は入ってきた。
ドアが開く音も、波動エンジンの音も、今夜は無機質に感じられた。
新見さんだった。
私がここに居ることを、知っていた様だ。
彼女は、片手に持ったコーヒーを私に差し出してこう言った。
「コーヒーどうぞ」
「あ、はい。ありがとうございます」
戸惑いながらも、それを受け取って、ついカップの中を覗き込んだ。彼女の意図を知りたかったからだ。
「変なものは入ってないわよ? ただの差し入れ」
「いえ、そういうつもりじゃ……」
古代君とは、待ち合わせをしているわけではなかった。今夜は、シフトの関係で、この時間
ここで逢える確率が高かっただけ。
そして彼は来なかっただけ。
がっかりしている自分を知られるのも嫌だったし、新見さんがプライベートな用件で、私を探していた、という事実にも警戒心が働いたせいだ。
「私に、何か御用ですか?」
声に、言葉に出てしまっている、と知りながら、それでも構わない。
「わざわざ、私を探して来られたのですよね?」
語尾に僅かに力を込めた。
もうカップの中を覗き込む振りはしない、と私は彼女の目をまっすぐに見ていた。
彼の人は、両手を広げて彼女を抱きとめた。
視界に入った二人の姿に、私は動揺したのだろうか。
あの時チクっと心に刺さったトゲは、消えてしまったように思えるけれど
時々、チクリと痛む。
私は、両手を広げていいのかな。
*****
ブログに断片的に書いたもの
雪視点で続ける予定です。
年齢制限ナシなので、こちらで。
来年以降、思い付きで書こうかと思います^^
2015/12/28(月)
22:46
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